富山地方裁判所 昭和49年(わ)238号 判決 1975年7月23日
本店の所在地
魚津市本江新町一番五号
法人の名称
金岩建設株式会社
代表者の氏名
代表者代表取締役 金岩芳俊
本籍
魚津市観音堂一、五二一番地
住居
右同所
会社役員
金岩芳俊
大正一五年一〇月二六日生
検察官検事
鞍元健伸
弁護人被告人両名につき弁護士
宇治宗義
主文
被告人金岩建設株式会社を罰金五〇〇万円に、
被告人金岩芳俊を懲役七月に処する。
ただし、被告人金岩芳俊に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人金岩建設株式会社は、魚津市本江新町一番五号に本店を置き、建設業を目的として昭和四六年五月四日設立された資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人金岩芳俊は被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるところ、被告人金岩芳俊は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、公表帳簿に架空労務費を計上してその代金で架空名義の簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和四七年五月一五日、魚津市北鬼江三一三番地の二魚津税務署において、同税務署長に対し、昭和四六年五月四日から昭和四七年三月一五日までの事業年度における被告人会社の所得金額が三、二七一万八、二〇七円で、これに対する法人税額が一、一七八万三、二〇〇円であるのに、所得金額が七四七万六、四七八円で、これに対する法人税額が二五〇万六、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、偽りその他不正の行為により被告人会社の右事業年度の法人税額九二七万六、四〇〇円を免れ、
第二 昭和四八年五月一五日、前記魚津税務署において、同税務署長に対し、昭和四七年三月一六日から昭和四八年三月一五日までの事業年度における被告人会社の所得金額が六、九八三万〇、五七七円で、これに対する法人税額が二、五三三万九、四〇〇円であるのに、所得金額が一、二五一万七、〇二一円で、これに対する法人税額が四二七万六、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、偽りその他不正の行為により被告人会社の右事業年度の法人税額二、一〇六万二、五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示冒頭の事実につき
一、登記官作成の被告人会社の登記簿謄本
判示事実全部につき
一、第一回公判調書中の被告人金岩俊兼被告人会社代表者の供述部分
一、被告人金岩芳俊の大蔵事務官に対する質問顛末書八通ならびに検察官に対する供述調書
一、金岩義男の大蔵事務官に対する質問顛末書五通ならびに検察官に対する供述調書
一、金岩定義の大蔵事務官に対する質問顛末書七通ならびに検察官に対する供述調書
一、河崎昭の大蔵事務官に対する質問顛末書
一、美谷の大蔵事務官に対する質問顛末書四通
一、広瀬武男の大蔵事務官に対する質問顛末書四通
一、金岩定幸の大蔵事務官に対する質問顛末書三通
一、熊崎正彦の大蔵事務官に対する質問顛末書三通
一、島行雄の大蔵事務官に対する質問顛末書三通
一、白勢治男の大蔵事務官に対する質問顛末書四通
一、高瀬与志一の大蔵事務官に対する質問顛末書三通
一、本田百合子の大蔵事務官に対する質問顛末書四通
一、花水徳雄提出の上申書
一、川瀬和提出の上申書
一、荒河隆男提出の上申書
一、稲森茂提出の上申書
一、渡辺義男提出の確認書
一、大蔵事務官半浦隆太郎作成の昭和四八年一一月一二日付査察事件調査事績報告書
一、和田隆提出の上申書
一、吉田初男作成の確認書
一、川崎弘提出の昭和四八年六月一四日付上申書
一、大津任提出の「金岩建設株式会社との取引について」と題する書面
一、押収してある総勘定元帳(多々良木作業所)一冊(昭和五〇年押第六号の1)、労務賃金支払明細表(新豊根作業所)一綴(同号の3) 金銭出納帳(新豊根作業所)一冊(同号の5)、労務者募集関係綴(鞘ケ谷、富野作業所)一綴(同号の11)および総勘定元帳(志津川作業所)一冊(同号の26)
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官若宮俊一作成の証明書(検察官請求証拠目録甲二の請求番号1)
一、清水柳三提出の上申書
一、関口一郎作成の回答書
一、本田百合子作成の上申書
一、大蔵事務官宮下清作成の査察事件調査事績報告書
一、金沢政雄提出の上申書
一、奥平道夫提出の確認書
一、笠英一提出の昭和四八年六月五日付確認書
一、川崎弘提出の同年九月二九日付上申書
一、美谷作成の上申書
一、金岩定幸作成の上申書
一、押収してある元帳綴(多々良木作業所)一綴(昭和五〇年押第六号の4)、元帳(鞘ケ谷、富野作業所)一冊(同号の6)、金銭出納帳(鞘ケ谷作業所)二冊(同号の8、9)、補助簿(鞘ケ谷作業所)一綴(同号の10)、休業補償費綴(鞘ケ谷、富野作業所)一綴(同号の12)、労務賃金支払明細書(多々良木作業所)一綴(同号の18)、賃金台帳集計表(十日町作業所)一綴(同号の19)、雑ノート(福島上水道作業所)一冊(同号の20)、賃金台帳集計表(高瀬川作業所)二綴(同号の21、22)、総勘定元帳(本社)一冊(同号の23)、賃金明細書(生田作業所)一綴(同号の27)、労務賃金明細書綴(猪久保作業所)一綴(同号の28)、中元メモ一枚(同号の30)および労務賃金支払明細表(多々良木作業所)一綴(同号の32)
判示第二の事実につき
一大蔵事務官若宮俊一作成の証明書(検察官請求証拠目録甲二の請求番号2)
一大羽重信提出の上申書
一備前保作成の上申書
一小池和男提出の上申書
一池田耕治提出の上申書
一中野一松提出の上申書
一金岩定義作成の上申書
一笠英一提出の昭和四八年六月六日付確認書
一大蔵事務官半浦隆太郎作成の昭和四九年一月二五日付査察事件調査事績報告書
一押収してある重要書類綴(多々良木作業所)一綴(昭和五〇年押第六号の2)、金銭出納帳(鞘ケ谷作業所)一冊(同号の7)、借用証書(白封筒入り)一枚(同号の13)、借用証書(佐藤工業株式会社金岩建設鞘ケ谷作業所封筒入り)一枚(同号の14) 募集債券ご案内書(野村証券封筒入り)二枚(同号の15)、普通為替金受領書(長形二号封筒入り)五枚一綴(同号の16)、労務賃金支払明細書(鞘ケ谷作業所)一綴(同号の17)、総勘定元帳(苫編作業所)一冊(同号の24)、総勘定元帳(十日町作業所)一冊(同号の25)、元帳(那須作業所)一冊(同号の29)および賃金台帳集計表(速達便封筒入り)一枚(同号の31)
(法令の適用)
被告入金岩芳俊の判示第一、第二の各所為はいずれも法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に該当するところ、被告人会社については同法一六四条一項によりいずれも同法一五九条一項の罰金刑を科することとし、被告人金岩芳俊についてはいずれも所定刑中懲役刑を選択し、これらは刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により判示第一、第二の各罪所定の罰金額を合算し、被告人金岩芳俊については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、それぞれの金額および刑期の範囲内で、被告人会社を罰金五〇〇万円に、被告人金岩芳俊を懲役七月に処し、ただし、被告人金岩芳俊に対しては、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 北沢貞男)